「ICTが進む学校や教師」を批判する日本の問題点、広がる格差との向き合い方 「無理なく」が最良、効率的なICTの取り入れ方

✎ 1〜 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「GIGAスクール元年」と位置づけられた2021年に中学3年生だった子どもたちが、今年4月高等学校に入学した。各自治体はICTを活用した学びを途切れることなく高校に引き継ぐことを目指している。一方、すでに小・中学校では学校間の格差が広がっているが、「比べない、邪魔をしない」が大切だと、これまで自由進度学習などICTを活用した授業に率先して取り組んできた蓑手章吾氏は話す。そんな蓑手氏に、ゆっくりでも効率的にICTを取り入れていくポイントについて聞いた。

GIGAスクール構想で小・中学校に整備された「1人1台端末」が、今年の4月からいよいよ高等学校でも全面実施となりました。完全無償だった小・中学校と比べると、高校においては端末の整備費用は自治体によって扱いがまちまちのようです。ちなみに都立高校の新入生は、3万円の保護者負担だとか。

小・中学校では「1人1台端末」の完全実施から丸1年経ったことになりますが、皆さんの学校や自治体ではどのような活用状況でしょうか。私も昨年度、多くの小・中学校に年間講師などで入らせていただきましたが、インターネット環境が当初の計画を前倒しして整備されたこともあって意義やスタンスが浸透しておらず、挑戦できている学校と混乱の中で耳をふさいでしまっている学校とで格差が開いている印象があります。

蓑手章吾(みのて・しょうご)
HILLOCK(ヒロック)初等部 校長
公立小学校で14年勤務した後、2021年3月に東京・世田谷にオルタナティブスクール、ヒロック初等部を創設、22年4月に開校。専門教科は国語。特別支援学校でのインクルーシブ教育や発達の系統性、学習心理学に関心を持ち、教鞭を執る傍ら大学院にも通い、人間発達プログラムで修士号を取得。特別支援2種免許を所有。プログラミング教育で全国的に有名な東京・小金井の前原小学校では、研究主任やICT主任を歴任するなどICTを活用した教育にも高い関心と経験を持つ。著書に『子どもが自ら学び出す!自由進度学習のはじめかた』(学陽書房)、共著に『before&afterでわかる!研究主任の仕事アップデート』(明治図書)、『知的障害特別支援学校のICTを活用した授業づくり』(ジアース教育新社)などがある
(写真:蓑手氏提供)

「ICTはサンマの枠組みを解放するトリガーだ」の真意

ただ、ここに関しては今の段階では仕方ない現象かなと思っています。というのも、現場教員の情報リテラシーや社会の変化に対するアンテナの感度には大きな差があります。必要性を十二分に理解して授業を設計できる教師もいれば、ICTを使う理由もわからず、どう使えばよいか指示してくれないと授業ができない教師もいるのが今の日本の教育現場です。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事