「88%が自己理解、78%がメンタルケア」に効果があったAIアプリの正体 学校で実証実験「AIジャーナリング」の可能性

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海外で普及している「ジャーナリング」というメンタルケアの手法を活用したアプリ『muute(ミュート)』が今、Z世代を中心に人気が広がっている。2022年1~2月には、中高生の自己理解力の促進やメンタルケアにも役立つのではないかと、muuteを活用した実証実験が9つの私立中学校・高等学校で行われた。開発・運営元のミッドナイトブレックファストと、実証実験に参加した追手門学院高等学校に、その検証結果や活用方法について聞いた。

Z世代に人気のアプリ、セルフケアに特化した理由とは?

ジャーナリングとは、頭に思い浮かんだことをありのままに書くメンタルケアやマインドフルネスの一手法で、「書く瞑想」とも呼ばれる。

『muute』は、そんなジャーナリングがスマホでできるアプリだ。自由記述だけでなく、感情の選択や質問への回答を通じた記録もでき、それらのデータからAI(人工知能)が思考と感情を分析してフィードバックをくれる。

muute の画面イメージ。AIが記述や回答のデータを分析し、ビジュアル化してくれる
(画像:ミッドナイトブレックファスト提供)

気軽に自己の振り返りができることから、2020年12月にローンチし、すでに約50万以上のダウンロードを記録した。ユーザー層は主に10~30代で20代の女性が最多。就職活動の自己分析や自身のメンタルケアに活用する大学生も多いという。

「実は、最初からセルフケアに特化しようと思っていたわけではありません」と語るのは、muuteのプロダクトデザイナー、ミッドナイトブレックファストの岡橋惇氏だ。

岡橋 惇(おかはし・あつし)
ミッドナイトブレックファスト プロダクトデザイナー
グローバルメディア企業、ブランドコンサルティングファーム、外資系コンサルティングファームでの勤務を経て現職
(写真:ミッドナイトブレックファスト提供)

「Z世代向けのアプリ開発を前提にリサーチする中で、『自分らしく生きたいけど、自分についてよくわからない』という課題を抱える若い人が多いことがわかってきたのです。さらに、SNSで複数のアカウントを使い分けて他者と上手に付き合う反面、本当の自分を見失う『自己の空洞化』に陥っていたり、本音を話すことや人の目を恐れていたりする傾向も強いことが見えてきました」(岡橋氏)

悩む若者たちにセルフケアツールの必要性を感じ、ジャーナリングに着目したという。

「ジャーナリングは、欧米では心の整理やメンタルヘルスによい影響があるとして一般的に知られている手法。健康状態や集中力、学業成績の向上に寄与するという論文もあり、有効だと思いました。日本ではまだメンタルウェルビーイングは定着していませんが、コロナ禍で心のセルフケアに注目が集まる中、muuteも利用者が増えたのではないかと思います」(岡橋氏)

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