71%がストレス低減「マインドフルネス」を学校で行う効果とは? 教員や学生のセルフケア支援で導入する学校も

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
GoogleやMeta(旧Facebook)など米国の大手テック企業が取り入れ、日本でも注目を浴びるようになった「マインドフルネス」。ストレス軽減や集中力アップなど、パフォーマンスを高めるとして近年ビジネスパーソンやアスリートなどに支持されている。この科学的メソッドを、子どもたちの心の健康のために活用できると考え、2021年に小学校で実証実験を行ったのがマインドフルネス・プログラムの開発・提供を行うMelonだ。同社代表取締役CEOの橋本大佑氏に、プロジェクトの狙いや検証結果について聞いた。

脳の「前頭前野」を鍛えてネガティブな感情を制御できる

「学校は、先生と子どもがハッピーであることが最優先ではないかと思います。それ以外に優先することってないんじゃないかなと。でも、実際は先生も子どもも日々忙しく、さまざまなプレッシャーにさらされていますよね。私の親は小学校の先生だったし、わが子もつい先日まで中学受験生だったので、その精神的ストレスはよくわかります」

そう話すのは、Melon代表取締役CEOの橋本大佑氏だ。実は自身も、外資系資産運用会社で15年間働く中で、物質面では恵まれているものの精神的には満たされず、個人的な問題を機にメンタル不調に陥った経験がある。同じ頃、友人が自ら命を絶ち、周囲でもメンタルに問題を抱える人が多いことに気づいた。そんなふうに思い悩む中で出合ったのが、マインドフルネスだった。

橋本 大佑(はしもと・だいすけ)
Melon 代表取締役 CEO、一般社団法人マインドフルネス瞑想協会理事
早稲田大学卒業後、シティグループ証券投資銀行本部を経て、米系資産運用会社、オークツリー・キャピタル・マネジメントで日本株運用に携わる。15年間の外資金融でのキャリアの中で、マインドフルネス瞑想を継続し効果を実感。2019年にMelonを設立し、オンライン・マインドフルネスのプラットフォーム「MELON ONLINE」をスタート。法人向けのマインドフルネス研修やイベント登壇、個人向けの講演など各方面でマインドフルネスを広める活動を継続中

「マインドフルネスについて学び始めたら、不安を和らげたり、うつや燃え尽き症候群を予防したり、マルチタスクによるストレスを軽減したりする効果があるという科学的なエビデンスがたくさんあることや、米国ではここ10年でだいぶ普及していることなどがわかりました。さらに実際に試すことでその効果に確信を持ち、社会実装するべきではと思い起業に至りました」

マインドフルネスとは、「今この瞬間に集中している」状態だ。橋本氏は、その状態がなぜよいのか、次のように説明する。

「マインドフルネスは、米国で40年ほど前にジョン・カバット・ジン博士が提唱したことが始まりですが、いわば注意のトレーニングです。人間の脳には怒り・焦り・不安・恐怖といったネガティブな感情に反応しやすい『扁桃体』という部位があり、この扁桃体が暴れないように抑制するのが『前頭前野』。呼吸や身体など、特定の対象に意識を向けることでこの前頭前野が鍛えられ、ネガティブな感情やマイナス思考の無限ループをコントロールできるようになるのです」

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事