交通事故を防ぐ、「先進運転支援システム」最前線 踏み間違い事故防止に向けた後付け安全装置

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日本特殊陶業の「アイアクセル」について

アイアクセスの製品本体(筆者撮影)
アイアクセルの製品本体(筆者撮影)

まずは、一般乗用車向け製品となる「アイアクセル」。NGKスパークプラグなどでおなじみの日本特殊陶業が展示したアイアクセルは、後付けのペダル踏み間違い時加速抑制装置だ。開発・製造を手がけたのは岡山県に拠点を置く企業「英田エンジニアリング」。産業機械メーカーである同社は、一般ユーザー向け販路などを持たないこともあり、全国に販売ルートなどを持つ日本特殊陶業が代理店として同製品の販売を担当。2021年12月より取り扱いを開始した。

一定以上アクセルを踏み込んだときに作動(筆者撮影)
一定以上アクセルを踏み込んだときに作動(筆者撮影)

純正のアクセルペダルと付け替える本製品は、アクセルペダルを一定の角度より奥へ、強く踏み込むことで作動し、アクセルを解除するものだ。既存のブレーキペダルとリンクさせることで、作動時にはブレーキによる減速も行う。また、取り付け可能車種は、近年一般的な電子制御式アクセルペダル搭載車だけでなく、より古い車種に多いケーブル式アクセルペダル装着車にも対応。幅広い年式や種類の自動車に装着できる。

電子制御式はもちろんケーブル式のアクセルにも対応

アイアクセルは、電子制御式はもちろnケーブル式のアクセルペダルにも後付け可能(筆者撮影)
アイアクセルは、電子制御式はもちろんケーブル式のアクセルペダルにも後付け可能(筆者撮影)

日本特殊陶業の担当者によれば、「現在、市場に出まわっている後付け式ペダル踏み間違い時加速抑制装置の多くは、電子制御式アクセルにしか対応していないものも多い」という。また、ドライバーがアクセルペダルを踏み間違ってしまった際に、アクセルの電気信号をカットするだけで、ブレーキと連動する製品も少ないそうだ。

一方、アイアクセルは、ドライバーがパニックに陥ったとき、アクセルを強く踏むとアクセルを解除するとともに、ブレーキもゆるやかに作動させることで、安全に車両を減速する。しかも急ブレーキにならないので、後方車から追突される危険性も低い。装置はアクセルペダルを踏み込む力が約10kg以上のときに作動するが、高速道路での本線合流や追い越し時、坂道走行時など、比較的ペダルの踏み込み量が多い状況でも作動はほぼしないという。

アイアクセルの作動状態がひと目でわかる表示機(筆者撮影)
アイアクセルの作動状態がひと目でわかる表示機(筆者撮影)

また、運転席のダッシュボードなどに装着できるアイアクセル状態表示機は、装置が作動する手前で警報ブザーを鳴らす機能も持つ。そのため、ドライバーは「これ以上アクセルを踏んだら装置が作動する」ことが事前にわかり、誤作動を未然に防げるという仕組みだ。

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