■マーケティングエクセレントなP&Gの戦略
『P&G史上初! “食べ物汚れをつきにくくする”コンパクト洗剤誕生「アリエールレボ イオンジェルコート」新発売~汚れる前に、洗って防ぐ。今日からはじめよう、「予防洗い」!~』
同製品も先行2商品と同様に「すすぎ1回」を訴求できる商品である。しかし、そこはメインの訴求ポイントとしていない。「衣類の表面をコートして、汚れをつきにくくする」という。
リリースでは、「スパゲティソースや餃子のたれなど、よくある食べ物の汚れに高い効果を発揮します」と、その効用が具体的だ。『「予防洗い」と洗浄力で、食べ物汚れに高い効果を発揮する。スパゲティートマトソースの場合(P&G実験結果)』と、コーティング効果によって普通の洗剤では落ちないトマトソースの汚れが、キレイさっぱり落ちている比較写真が掲載されている。
ランチにパスタを食べに行き、ついつい、トマトソースを注文してしまう。そんな時に限って真っ白なシャツやブラウスを着ている。食べ終わった満足感を味わった次の瞬間、服に飛び散ったオレンジ色のポチポチを発見。そんな悲しい思いをしたことがある人なら、「これはいい!」とイチコロになりそうな訴求である。トマトソースの猛攻すら簡単に排除する鉄壁の防御が「アリエールレボ イオンジェルコート」で洗えば手に入るのだ。
鉄壁の防御を手に入れられるのは消費者だけではない。「汚れを防止し、簡単に汚れをキレイさっぱり落とす」という機能はP&G自身にとっても鉄壁の防御として機能する。
訴求の強さはともかく、「すすぎ1回」は3商品とも実現している。加えて、ライオンは「臭いの除去」、P&Gが「汚れ防止と食べ物汚れ除去」という付加価値を増している。とすると、シェアNo.1でリーダー企業の花王は、「アタックNeo」をリニューアルする際に、競合商品が持っている付加価値を取り込む可能性が考えられる。優れた研究開発力で同等の機能を実現し、強大な販売力で先行する商品を覆い被するようにチャネルの棚を席巻していく。リーダー企業の常套手段、「同質化」だ。
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