勉強好きな子どもに共通「知的好奇心」、どうすれば伸ばせるか? 「強制せずに」子どもが夢中になる仕掛けとは?

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14年に創業後、自社の教室にやって来る子どもたちの反応を見ながら独自教材の「Think! Think!」(以下、シンクシンク)という思考センス育成アプリを開発。それが17年4月、米Googleによる世界最大級のアプリアワード「Google Play Awards2017」において、子ども向けアプリ部門のTOP5に選出されたことで、一気に知名度が上昇。近年のSTEM教育の高まりも受け、ワンダーラボの教材プログラムが広く注目されるようになったのである。

シンクシンクは、パズルや迷路、図形などを用いて、思考力を楽しく身に付けるための4歳〜10歳向けの知育教材アプリ。ユーザーは中国、米国、欧州など世界150カ国で200万人(2022年1月現在)を突破している。このシンクシンクを使用することで、実際に子どもたちにどのような効果が生まれているのか。

同社は、17年度から、国際協力機構(JICA)「中小企業海外展開支援事業〜案件化調査〜」として、シンクシンクとその知見を活用し、カンボジアにおいて思考力教育の導入事業を手がけている。カンボジアでは14年の段階で高校卒業試験の合格率はわずか26%。教育環境の整備、人材競争力の強化が国の最優先の課題となっていた。そこで同国教育・青少年・スポーツ省の全面的な協力の下、18年にシンクシンクの効果を検証する大規模実験を実施した。

プノンペンの公立小学校で、子どもたちがシンクシンクを試している様子(左上)(右上)実証実験の様子が掲載されたカンボジアの新聞記事(右下)川島氏と、カンボジアのハン・チュオンナロン大臣(左下)
(写真:ワンダーラボ提供)

慶応大学教授の中室牧子氏の研究室(教育経済学)と共同で行われ、首都プノンペン周辺の5つの公立小学校で、40クラスに属する生徒のうち、ランダムに選ばれた20クラスの生徒に、算数の授業の一部でシンクシンクを用いた学習を行い、アプリを用いない残りの20クラスの生徒と比較した。その結果、3カ月後の学力テストの偏差値が、小学校3年生で6.8ポイント、同4年生では6.1ポイント改善し、生徒たちが将来大学に進学したいという意欲も向上したという。しかもシンクシンクは、ほかの開発途上国で導入された学習支援ツールと比べても、学力やIQを改善する効果が著しく大きかった。

「実証実験の結果、シンクシンクで学力やIQを大きく改善されることが証明されました。私たちは偏差値を上げるために教材を作っているわけではないのですが、シンクシンクで、子どもたちの受験にも役立つ基礎能力を引き出すことができるのです」

「STEAM教育」を日本中に届ける、新たな試み

同社の強みはそれだけではない。20年にSTEAM領域の教育プログラム 「WonderBox」(以下、ワンダーボックス)を発表。サービス開始から、キッズデザイン賞、グッドデザイン賞、ペアレンティングアワードなど、数多くのアワードを受賞し、新たに大きな注目を集めているそうだ。こちらは、子どもの知的成長を刺激する教材で、デジタルとアナログを組み合わせて、プログラミング、アート、パズルなど、多彩なコンテンツを毎月提供するプログラムとなっている。

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