発達障害の子どもを排除する厳格な「学校ルール」 「普通に成長した子」しかいられない通常学級に

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――通常学級より、特別支援学級や特別支援学校を希望する保護者も増えているようです。特別な支援を受ける子どもが増えることはよいことのようにも思えますが。

保護者にとっては、特別支援学級・学校に行けば、専門性の高い教育を受けて子どもの可能性が広がるという希望があります。ただ、特別支援学級・学校は、保護者がイメージする専門的な学びとは違い、将来の就職につなげるための訓練に近い面があります。

一度、特別支援学級・学校のレールに乗ると、通常学級のレールに戻るのは難しいのが現実です。特別支援学校の高等部の卒業は、就職時に(「高卒」の要件として認められず)中学校卒業の扱いになります。特別支援学校では就職先を斡旋してくれますが、そこでうまくいかなければ、中卒資格で自活しなければいけません。

一方、保護者が学校でつらい思いをしていることは、痛いほどわかります。今の通常学級には問題のある子どもが少ないので、周囲に面倒をかける子どもの親は、いつも厳しい目にさらされています。

1人の教師ががんばって工夫をしても、担任が変われば辛い思いをしてしまう可能性がある。だから、保護者に「特別支援学級に行ったほうがよっぽど気持ちがいい」と言われてしまうと、教師も「通常学級でがんばりましょう」とは軽率に言えません。集団行動や規律を重視し過ぎる体制が変わらないことが、悩ましいですね。

――本人や親が通常学級を希望しても、学校側から拒否されるケースもありますか。

制度上は保護者が特別支援学級を希望しなければ、強制はできません。

以前、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と言われていた男児を受け持っていた時の話です。中学進学の際、関係機関から特別支援学級への入級を勧められました。特別支援学級のある学校は小学校の友達が進学する中学校とは違うため、人見知りをする本人は行きたくありませんでした。

男児の受け入れを懸念する中学校の校長に、親と一緒に会いに行き、改めて本人と親の思いを伝えました。結局、彼は周りの子と同じ通常学級に入りました。

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