原田知世「芸能界に合ってない」のに続けられた訳 一期一会な女優業の裏に「ホッとする場所」
── それはどうしてですか?
原田:今はもう、音楽をやっている自分と女優の自分がふたつあることが、私の個性だと思うようになって。で、それを行き来することで、両方の仕事に対する自分の心持ちの鮮度がずっと変わらないままこられたというのがありますし、女優の仕事だけでずっと続けるって、本当に大変なことだと思います。
── 逆にいうと、女優とシンガーの両方を同じようにやっている方は他にいないし、むしろ2つやるほうが大変では? と思う人のほうが多いのではないでしょうか。
原田:私の場合はそれが、気持ちの鮮度が落ちない、いいところ(バランス)だったみたいですね。
性格的に、芸能界にあまり合ってないな
── お芝居でできることと、歌でできる表現や面白さ、やりがいは違いますか?
原田:違いますね。女優の仕事は、ひとつの作品のためにたくさんの人たちが集まり、一斉に作って、終わったらパッと別れる。ほぼ一期一会だと思います。
一方、音楽では、私はこの10年以上、同じプロデューサーやミュージシャンの方とアルバムを作り、ツアーをやってというのを、ひとつのチームとしてやってきました。その同じ人達とやっていく作業が私にはとても合っていて、いつしかそこがホッとする場所、ホームのような場所にもなっていました。
ですので、ドラマや映画のように作品ごとにパッと集まり、終わったら散っていくのも刺激的ですが、それとは別に、心の落ち着く場所があり、そこでずっと繋げていく仕事ができたということが、表現すること自体を継続できた、とても大きな力だと思います。
── 原田さんはこれだけ長く芸能界にいても、俳優さん同士の交流も含め、いわゆる芸能界的なところから常に距離を置いていらっしゃるイメージがあります。そこには何かお考えがあるのですか?
原田:私は性格的に、芸能界にあまり合ってないなって思う時があって。
── 40年もやってらっしゃるのに(笑)?
原田:ええ(笑)。合ってないって言うのもヘンですけど。もちろん、共演者の方もホントに素敵な方がたくさんいらっしゃるし、一緒にいて楽しいです。ただ、そうした新しい出会いが次々に訪れますし、現場でやらなきゃいけないことも多いですから。その中で持続して友達になるというお付き合いは、少ないのかもしれません。