欧米では企業に対し、人権リスクの把握と対策を求める動きが高まっている。後れを取る日本企業が対応すべき課題に迫る。
ガバナンスコードにも明記
SDGsは「人権を重視」
今年6月に公表された東京証券取引所の「改訂コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」。上場企業にとって重要な経営指針となる内容に、サステイナビリティーに関する取り組みとして、「人権の尊重」が盛り込まれた。ガバナンスコードに強制力はないが、従わない場合は投資家などへの説明が求められる。
今回の改訂では、地球環境問題への配慮や人権の尊重が「収益機会にもつながる重要な経営課題である」として「積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべき」だと明記した。
グローバル化に伴って企業活動が引き起こす人権問題はしだいに顕在化してきた。開発途上国を中心に、強制労働や児童労働、環境破壊を伴う企業活動は以前からあったが、2000年代に入ると、企業の社会的責任が強く問われるようになった。11年の国連人権理事会の決議において、「ビジネスと人権に関する指導原則」が全会一致で支持された。
15年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)にもその思想は盛り込まれている。企業の成長に必要な3つの観点であるESG(環境・社会・企業統治)でも、Sの柱の1つが人権擁護である。欧米では投資家にとってすでに「人権」が、重要な判断基準になりつつある。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら