基本的権利さえ侵害する制度を維持してきた日本政府の責任は大きい。
数年前に開催された日本弁護士連合会の人権擁護大会シンポジウム。自民党の外国人労働者等特別委員長だった議員は、外国人技能実習制度を「黒いカラスを『白い』と言ってきた制度」と評した。正鵠を射た表現である。
技能実習制度の目的(建前)は、途上国への技能等の移転を通じた国際貢献であるが、前身の外国人研修制度から「研修に名を借りた就労」という批判があった。単純労働者は受け入れないとする1989年改定入管法の施行直後の90年8月、労働力不足に悩む中小零細企業への「救済策」として、「団体監理型」が導入された。
単独で海外から外国人を受け入れ、生活支援することが困難な事業所でも、事業協同組合などの監理団体を利用すれば受け入れが可能となったのだ。これこそが、後の技能実習生受け入れ拡大の端緒となったことは、実習生の9割以上が団体監理型であることを見れば明らかであろう。
その後、93年の技能実習制度創設、実習実施期間の延長や受け入れ人数枠の拡大、移行対象職種の追加など、雇用主にとって都合のよい制度の改変が、法律ではなく省令や告示などで進められていく。それとともに、技能実習制度は安価な単純労働者の供給機能を高め、受け入れ人数は増加し、あらゆる職種における制度への「依存」が高まっている。
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