実習生の過半を送り出すベトナム。日越双方の利権構造を見逃してはならない。
日本国内で働く外国人技能実習生は38万人近くに達し、人手不足の職種では欠かせない労働力だ。その一方で、技能実習制度(実習制度)には批判も多い。「実習生とは名ばかりで、外国人単純労働者受け入れの抜け道に使われている」「悪質業者の中間搾取がひどい」「実習生の人権を侵害するブラック企業が多い」などだ。
新聞やテレビでは、そんな批判が盛んになされる。しかし同様の指摘は、筆者が実習生問題の取材を始めた2007年ごろからあった。最近も米国務省が実習制度を「人身売買」と非難したことがニュースになったが、少なくとも07年以降、同省の年次「人身取引報告書」では毎回、言及されてきた。
にもかかわらず、なぜ実習制度は存続しているのか。問題の本質は、悪質業者をはじめとする「ブラック企業問題」なのか。実習制度の廃止を主張する有識者も増えているが、廃止さえすれば問題は解決するのだろうか。
実習制度を象徴する存在がベトナム人だ。ベトナム人実習生は約21万人を数え、実習生全体の半数以上を占める。一方、職場からの失踪や犯罪などが問題になっている。
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