人権デューデリジェンスを行い、社外と対話する──。SDGs時代の経営の常識だ。
企業の経済活動が拡大し、サプライチェーンが世界に張り巡らされた現在、企業経営において、自社の事業が国内外の人権に引き起こす影響を認識しないことは、重大な経営リスクとなる。一方で、経営陣が人権の重要性を認識して適切に対応することができれば、企業価値の向上を実現できる。
日本において、ここ数年、SDGs(持続可能な開発目標)経営の広がりと、ESG(環境・社会・企業統治)投資の拡大は顕著である。並行して、日本企業は、米中対立を中心とする地政学的リスクに直面している。メディアでは、米国につくか、中国につくかという「デカップリング」論が声高に唱えられている。
しかし、米国経済と緊密な関係を有しながらも、アジアで生き続けなければならない日本企業からすれば、一方にくみして、一方を切り捨てる選択が不可能なことは、多くの企業経営者の共通の考えであると筆者は理解している。
欧米諸国において、人権をめぐる課題についての法制化が着実に進展している。世界金融危機を契機に、米国で金融規制改革法(ドッド・フランク法)に基づく紛争鉱物規則が施行されて以来、企業のサプライチェーン上の人権侵害を防止する目的で、英現代奴隷法などの法律が欧米諸国で続々と成立している。
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