もはや社会インフラとなったLINEだが、経済安全保障の意識が欠けていた。
国内で8000万人以上のユーザーを抱えるコミュニケーションアプリのLINE。Zホールディングス(HD)との経営統合が完了した直後の今年3月中旬、中国の関連会社や業務委託先が日本のユーザーの個人情報にアクセスできる業務をしていたことが明らかになった。
「ユーザーの皆様にご心配とご迷惑をおかけしており、心からお詫び申し上げたい」。LINEの出澤剛社長は3月23日の会見で謝罪した。同社は2016年から中国・大連の関連会社や現地の業務委託先に対し、一部の業務システムやサービスの開発およびコンテンツの監視業務を任せてきた。これにより、日本における利用者の個人情報やメッセージの内容が閲覧可能な状態にあった。
中国への業務委託そのものは、日本の個人情報保護法に抵触はしない。ただ、中国では17年に施行された国家情報法において、民間企業に国家の情報収集への協力を義務づけている。LINE上の個人情報が中国当局の手に渡ることへの不安や懸念の声が高まり、同社は謝罪に追い込まれた。「国家情報法施行後の潮目の変化を見落としていた。ユーザーへの配慮が足りなかった」(出澤社長)。
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