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「デカップリング論に惑わされてはいけない」 経済安保どう取り組む?|多摩大学 学長 寺島実郎

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てらしま・じつろう 1947年生まれ。一般財団法人日本総合研究所会長。一般社団法人寺島文庫代表理事として教育、社会活動に取り組む。(撮影:吉濱篤志)

国際的ルール形成への関与の重要性をいち早く見抜き、学長を務める多摩大学に「ルール形成戦略研究所」を置いた寺島実郎氏。だが、経済安保論議を行う際には「事の本質を見誤ってはいけない」と警告を発する。

──米中対立の中で経済安保の議論が熱を帯びています。

まず、以下の数字を冷静に確認したい。2020年、米国と中国との間の貿易総額は5592億ドルで、前年と比べると3億ドル増えていた。一方、日本と米国とのそれは1833億ドルで、前年比で350億ドルも減った。つまり、コロナ禍で日米間の取引が大きく後退していたとき、米中はしっかり手を握り合っていたということだ。数字で明らかなように、米中間の貿易総額は日米間のそれの3倍にも達している。米中デカップリングだ、新冷戦だと騒いでいるが、事の本質を見抜かないと私たちは米中関係に翻弄されることになる。

かつて外交評論家の松本重治が「日米関係は米中関係だ」と、本質をえぐる指摘をした。日米関係は中国というファクターに絶えずかき回されてきたという意味だ。

第2次世界大戦において、日本は米国に敗北したと総括しがちだが、米中の連携に敗れたという側面も押さえておかなくてはならない。もし1949年、中国に共産党政権が発足していなければ、日本の復興は20年も30年も遅れたといわれている。国民党が中国大陸を統治していれば米中連携が続いていたはずだが、共産党政権ができたため、米国は日本を国際社会に復帰させ、共産主義に対する防波堤として経済的に復興させる必要が生じた。

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