経済安全保障論議に火をつけた自民党の新国際秩序創造戦略本部。昨年12月と今年5月に提言を公表した。座長の甘利明衆議院議員は、「経済安保は企業にとっても避けて通ることのできない重大な経営課題」と説く。
──自民党提言への反応は?
12月の「中間取りまとめ」の英訳を公表したところ、いろいろな国の大使から「直接、話をしたい」と連絡があった。
日本は経済安保にあまりに無頓着だ。昨年からのコロナ禍で明らかになったのは日本の脆弱性。マスクさえ中国に依存しており、当初は調達に苦労した。緊張関係がある国に特定の物品の調達を依存するのは、明確なリスクだ。
──経済安保、あるいは国際的なルール形成に関して、中国の危険性を強く指摘されています。
世界は今、猛烈にデジタル化が進んでいるが、そのデジタル技術は民主主義国よりも独裁体制のほうに親和性がある。中国は人工知能(AI)や顔認証システムを使った監視カメラによって、社会を監視している。電子決済を通じて個人の行動履歴もわかる。仮に中国方式が世界標準になってしまえば、各国のデータが中国に抜き取られかねない。
昨年、中国に進出している企業に対して、中国政府は推奨する税務会計ソフト2つのうち、どちらかを使うように命令したが、それをインストールするとマルウェア(悪意のあるソフトウェア)によって情報が抜き取られるようになっていた。この件を国外メディアが報道すると、インターネット経由でマルウェアをひそかに消去した。
日本企業が中国市場に進出するならば、基本的にすべて(情報や技術)が盗まれるという前提でいないと。丸裸にされるということだ。それを防ぐには対策をしてくださいと企業に伝えたい。米欧の政府、企業が対策を進める中で、日本だけが情報漏洩などのリスクを放置したままにしておけば、機微情報を扱う先進国のグループから、日本だけが分離されかねない。
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