ハイブリッド車やパソコン・テレビなど、日本企業の製品に及ぶ影響は甚大だ。
使われる量はわずかながら、経済活動に与える影響が大きいレアアース。クリティカルマテリアル(重要物質)とも呼ばれ、企業の先端技術開発に欠かせない存在となっている。そのレアアースの調達が、米中対立の影響を受ける可能性がある。
2020年9月、中国政府は「信頼できないエンティティーリスト規定」を施行し、同年12月に「輸出管理法」を施行した。信頼できないエンティティーリスト規定では、中国に危害を及ぼすおそれがある企業として指定されると、中国と関係のある輸出入や中国国内での投資、関係者などの中国入国が制限または禁止される。米国政府が輸出管理改革法(ECRA)と輸出管理規則(EAR)に基づき、19年12月から主な中国企業を輸出規制対象に含めたことへの対抗措置とされている。
問題は、その指定基準が外からよく見えないことだ。米国の法令に従っていたら、知らぬ間に中国の法令に抵触し、中国との貿易ができなくなってしまうおそれがある。とりわけ日本企業にとって懸念されているのは、レアアースをはじめとする原料などの調達に影響が及ぶことだ。国別の鉱石生産量で見ると中国は7割強を占め、17種類あるレアアースのうち、とくに希少性の高い中・重希土類の生産は実質中国に限られる。テルビウムやジスプロシウムといった原料が手に入らなくなると、日本の自動車メーカーや家電メーカーなどの生産にとって死活問題になる可能性がある。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら