不可能と思われた代物弁済はなぜ実現したのか。舞台裏に迫った。
「空前絶後の全面解決だ」。3月1日、東京地方裁判所。記者会見で、シェアハウスオーナー側の弁護団長を務める河合弘之弁護士は感慨深げに話した。
この日、オーナー285人とスルガ銀行との間で「和解」が成立した。オーナーが自身のシェアハウスを手放し、スルガ銀はオーナーへの債権を事実上放棄する内容だ。昨年3月にも同様の和解が成立しており、第1次、第2次累計で542人ものオーナーが「借金帳消し」を勝ち取った。異例の逆転劇はいかにして起こったのか。
取れるところから取る
さかのぼること3年半、2017年秋。投資家向けに女性用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を販売していたスマートデイズが、オーナーに保証賃料の減額を通知したことから騒動は明るみに出る。
「かぼちゃの馬車」はオーナーが販売会社から土地を購入し、建築会社と請負契約を結んで建築。それをスマートデイズが一括借り上げ(サブリース)し、オーナーには30年間賃料を保証していた。だが内実は相場の倍近い高額で物件を売りつけ、利回りのつじつまを合わせるべく家賃も水増しされていた。これを後押ししたのが、担保評価が基準に満たない物件や属性の低い債務者にも満額融資を実行したスルガ銀だった。
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