2010年に資本提携を結びながら、成果が得られなかった理由を探る。

一時期は相思相愛だった豊田社長とマスクCEO(撮影:大澤 誠)
自動車業界で時価総額1位のテスラと2位のトヨタ自動車。両社はEVの開発で提携していたことがある。2010年に発表した提携内容は3つ。①トヨタがテスラに5000万ドル出資、②トヨタと米ゼネラル・モーターズ(GM)の生産合弁会社、NUMMIの土地や設備の一部をテスラが買い取る、③EVとその部品を開発する合弁会社の設立だ。
「ベンチャー企業であるテスラから、チャレンジ精神や意思決定のスピード、柔軟性を学ばせていただきたい」。10年前の5月にテスラ本社で開いた提携会見で、トヨタの豊田章男社長はそう語った。テスラのイーロン・マスクCEOも「テスラの歴史にとって最もエキサイティングな日の1つだ」と笑顔で話した。
当時のテスラは初のEVとなる「ロードスター」の納車が08年に始まったばかりで、売上高はようやく100億円を突破したところだった。巨額投資を要する自動車産業に挑んでいるにもかかわらず、手元資金は100億円に満たず、トヨタの出資はまたとない信用補完になった。
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