有料会員限定

米国が仕掛ける「新冷戦」の落とし穴、「意図せぬ熱戦」のリスク Part2 混迷する外交

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 最新
拡大
縮小

新型コロナを契機に対立がエスカレート、大統領選挙まで危険がいっぱい。

南シナ海を航行する米空母「ニミッツ」と「ロナルド・レーガン」。空母が2隻も同時に南シナ海で演習を行うのは2014年以来のこと(U.S. Navy/AP/アフロ)

特集「アメリカの新常識」の他の記事を読む

週刊東洋経済 2020年9/19号
書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

米国のジャーナリスト、バーバラ・W・タックマンの『八月の砲声』は、第1次世界大戦の開戦の経緯を描いた古典だ。1914年6月にセルビアの青年がオーストリア=ハンガリー帝国の皇太子を暗殺。そこから同年8月にかけて欧州列強が誤解と相互不信によって、誰も望まなかった総力戦に突入した様子を活写している。

刊行されたのは米ソが核戦争直前まで行ったキューバ危機のさなかの62年だ。本書に大きな感銘を受けて米大統領、ジョン・F・ケネディはソ連のフルシチョフ首相との対話を決断し、最悪の事態を回避することに成功したとされる。

現在、この名著を引いて米中に自制を呼びかけているのが、オーストラリアのケビン・ラッド元首相である。外交官出身のラッド氏は中国語に熟達し、米中双方の指導層に知己が多い。

ラッド氏は米『フォーリン・アフェアーズ』誌に寄稿した「アジアでの8月の砲声に気をつけよ」という論文で「朝鮮戦争以来の米中の武力衝突の危機が迫っている」と警告した。米国では大統領選挙、中国では権力闘争によって政治が不安定化していると指摘、「今後の数カ月間を安全に乗り切ることが何より大事だ」と訴えた。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
アメリカの新常識
映画・ドキュメンタリーで学ぶ
なぜ「国民皆保険」は難しい?
異色のVCが目指すもの/バックステージ・キャピタル創業者 アーラン・ハミルトン
「ここから出て行け、国に帰れ」
Part4 分断社会の行方
IT、自動車、食糧…
民主党政権なら規制強化も
まだ譲らないが長期低落傾向
Part3 米国経済のニューノーマル
米中どちらと共に歩む?
北朝鮮、中国との関係に縛られる韓国
佐藤 優 が解説|中東、中国…変わる外交のリアリズム
インタビュー/米ジョンズ・ホプキンス大学教授 ケント・カルダー
Part2 混迷する外交
投票日はなぜ火曜?
インタビュー/米アメリカン大学教授 アラン・リットマン
アメリカ国民は何を思う?
インタビュー/日本総合研究所会長 寺島実郎
Part1 異例ずくめの大統領選挙
アメリカの新常識
「バイデン勝利」で何が変わるか?
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内