米国の対中姿勢の硬化は当初、日本にとって望ましかった。しかし、覇権争いに発展した今では、中国ビジネスの見直しを迫られかねない。
「後任の総理大臣も、日米同盟を強化していくことに変わりはないので安心してもらいたい」。8月28日の辞意表明の後、安倍晋三首相はトランプ米大統領と電話で会談し、そう伝えた。
「不動の日米安全保障条約」という意味では確かに安倍首相の言うとおりだろう。しかし、そこに「経済」という軸が加わった途端、事態は一気に複雑化する。
中国経済に大きく利益を依存する日本企業が多い中で、米中新冷戦時に日本はどちらへ顔を向けてビジネスを進めればいいのか。中国向け半導体受託生産をめぐって米国が台湾と韓国に圧力をかけたように、日本も中国ビジネス縮小の「踏み絵」を迫られないか。目下、経済界最大の悩みはこれだ。ポスト安倍政権はこの答えを持ち合わせているだろうか。
下表のように第2次安倍政権以降の日米関係では、前半は日本にとって冬の時代だった。
安倍首相が2度目の自民党総裁就任を決めた2012年9月、日本政府が尖閣諸島の国有化を実行したことで、中国各地で反日デモが拡大した。12年11月には習近平氏が中国最高指導者に就任。日本周辺での中国艦艇の示威的行為が拡大し、国際法を逸脱する東シナ海防空識別区が設定された。
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