『いつになったら宇宙エレベーターで月に行けて、3Dプリンターで臓器が作れるんだい!? 気になる最先端テクノロジー10のゆくえ』 『贈与の系譜学』ほか
意外と実用化に近い技術も、問題はコストとリスク
評者/サイエンスライター 佐藤健太郎
数十年前になされた未来予測を見ると、2020年の世界に住むわれわれは、月まで自在に観光旅行に行ったり、錠剤1つでがんを治したりできることになっている。一方、通信やゲーム、代金の支払いまでもこなす、手のひらに乗る機械の出現は、誰一人予想していなかった。技術予測は、かくも難しい。
社会を一変させる新技術と喧伝されながら、なかなか実用化に至らぬケースは少なくない。何が問題なのか、それらは今どういう段階にあるのか? 本書は、タイトルにある通り「いつになったら実現するのか」と言われ続けている10の技術を取り上げ、その現状を追った。
取り上げられているのは、核融合エネルギー、さまざまな物に変身できるスマート材料、有用物質を生産する合成生物、脳とコンピュータの直接接続など多岐にわたる。これらが実現すれば世界はどう変わるか、その一方でどのような危険が生じうるかなどを、著者らは皮肉とユーモアを交えつつ丁寧に調査、検証している(もっとも著者らのユーモアや、挿入されているマンガのセンスは、日本人読者には少々理解し難いものが多く、これが本書の難点ではある)。
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