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『民主主義の非西洋起源について 「あいだ」の空間の民主主義』 『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか? 結婚・出産が回避される本当の原因』ほか

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民主主義と国家は両立せず。危機にあるのは共和制国家
評者/BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

『民主主義の非西洋起源について 「あいだ」の空間の民主主義』デヴィッド・グレーバー 著/片岡大右 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile] David Graeber 1961年生まれ。文化人類学者、政治的活動家。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学人類学教授。著書に『アナーキスト人類学のための断章』『負債論──貨幣と暴力の5000年』など、インタビュー集に『資本主義後の世界のために──新しいアナーキズムの視座』。

われわれは、民主主義の起源を古代ギリシャのアテネに求め、18世紀の米独立戦争やフランス革命でよみがえり、現代に続くと考える。本書はこれを否定する。まず、民主主義の起源は特定の文明にあるのではない。また、近代民主主義と真の民主主義とは別物で、民主主義と国家は両立しないと論じる。

もともと民主主義は、コミュニティを構成する市民が自分たちの問題を平等な集会で意思決定することを示す言葉だった。富の不平等を前提にすると、民衆への権力委譲は、暴徒支配につながりかねない。米独立戦争やフランス革命の指導者らは民主主義者と同一視されることを警戒した。

実践としての平等な民主主義は、古来、国家管理が不在の領域で、コミュニティがコンセンサスを生み出す際に出現した。例えば多民族が混在する地域や米国のフロンティアで、即興的な民主主義的空間が生まれた。平等思考の意思決定は特定の文明や伝統に固有のものではないのだ。

さらにそこでは、コンセンサスの形成過程で白黒つける採決は選択されなかった。多数派意見に少数派を同意させる強制手段が存在しなかったからだ。それがアテネで可能だったのは、平等な市民が同時に武装していたからで、極めてまれなケースだった。多くの場合、民主主義的空間は、国家体制が整うと消失した。

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