テレワークは本来、国と経営者、個人にとって「三方よし」の働き方だ。国にとっての利点は東京一極集中が是正されること。地方でテレワークする人が増えれば、過疎化の解消につながる。働き手にとっては、子育てや介護などのライフステージに合わせ、働く時間や場所を選べることのメリットは大きい。ただ経営者にとっては「よし」ではなかった。なぜなら、社員の生産性向上への寄与が見通しづらかったからだ。
欧米ではテレワークは社員の生産性向上に寄与するというのが通説だが、根拠は不十分だ。確かに隔離空間で仕事に集中できる面はあるが、自己管理も必要だ。何より労働時間を正確に把握しづらいため、生産性の評価は難しい。ただ私は、生産性が変わらなくてもテレワーク導入は価値があると考える。企業にとって別の利点があるからだ。
一つはコスト削減。都内では従業員1人当たり平均約7万円の賃料がかかるといわれ、その削減余地は大きい。加えて交通費や印刷代の削減効果もあるだろう。また中小企業の多くが人手不足に悩むが、テレワーク人材を活用できれば、その解消につながる。さらに多様な人材の活用は、イノベーションの土壌になる。
急拡大の起点に
今回の緊急事態宣言で、テレワークに後ろ向きだった企業でも導入が進んだ。その結果、上司からは部下の仕事が見えづらく、評価しづらいとの声が聞こえた。ただ、部下がオンライン上でより細かく仕事の状況を報告、記録するようになり、逆に評価しやすくなったという例もある。
今後、より多くの経営者がそうしたプラスの面に目を向ければ、新型コロナがテレワーク急拡大の起点となる可能性がある。そうなるとオフィスのあり方も変わるだろう。






















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