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ファーストリテイリング傘下のユニクロが2019年10月、インドの首都デリーに現地1号店を出したことが、小売業界関係者の注目を集めた。独特の文化や階層構造、さらに外資規制も残るインドは、日系ブランドが進出するには「難関の地」とみられてきたからだ。
そのインドで、下着メーカー国内最大手のワコールホールディングス(HD)は、ユニクロに先んじて店舗展開を進めてきた。現在は、現地企業との合弁で直営店21店を運営。2019年には、さらなる拡販に向け百貨店での売り場展開も始めた。
ワコールHDはインドだけでなく、他のアジア地域や欧米でも販売網を拡張する。一方、下着業界では国内外を問わずネット通販が拡大し、またデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルを掲げる企業も台頭し始めている。インド市場の難しさと勝算、そして下着業界の新たな脅威とその対抗策について、同社の安原弘展社長を直撃した。
装飾の多い下着は好まれない
――ユニクロに先駆けて、2015年にインドに進出した理由は?
やはり、13億人を超える人口は大きな魅力だ。かつての中国のように一気に成長するのかどうかはわからないが、いずれ消費大国になるのは間違いない。だからこそ今、布石を打っている。現地でのワコールの知名度はまだまだなので、広告宣伝などのブランド投資を強化する。売上高からは想像できないくらいの積極投資を続けて、ブランドの認知をまず広げていく。
現地では、2015年からテストマーケティングも兼ねて高級ショッピングモールへの直営店出店を続けてきた。百貨店への出店は2020年度の予定だったが、前倒しして2019年に実施した。ユニクロが初めて直営店を出し、良品計画傘下の無印良品も現地事業を広げている。(日系ブランドの進出に)注目が集まっていることもあり、計画の実施を早めた。
――インドに進出した日本のアパレルブランドは、まだ限定的です。
今もインドへの日系ブランドの進出が少ないのは、価格帯の設定が難しいのと、何が売れるかがわからないからだろう。
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