車線など構わずに、空いているスペースにどんどん入り込む。けたたましくクラクションが鳴り響く。デリーやムンバイでは道路に乗用車、3輪タクシー、オートバイがごった返していた。
世界4位、年間440万台(2018年、商用車含む)の新車販売台数を持つインド。その巨大市場で、乗用車販売のシェアの過半を占めるのがスズキだ。
1982年にはインド政府が出資するマルチ・ウドヨグとの合弁に合意。現地生産を始めたのは83年のことだった。当時のスズキの戦略は、「小さな市場でもいいからとにかく1番になる」というものだった。労務管理を徹底して現地工場の生産性を向上させ、安価な車を生産・販売。品質にも優れていたため、インドの人々にも受け入れられた。
インドでの急成長は計算され尽くしたものではなかった。スズキの鈴木修会長は著書『俺は、中小企業のおやじ』で、「これほど大きくなるとは最初は私も想像できなかった」と語っている。
現在、スズキにとってインド事業は「虎の子」だ。18年の販売台数においては、国内の71.4万台に対してインドは175万台と、約2.5倍の差があった。インドでの販売台数は全体の52.5%を占めている。
しかし、19年はインド頼みの危うさが顕著になった。現地金融機関による無担保ローンなどの貸し渋りや環境規制の強化を受け、期初からインドの新車販売が減速。スズキのインド販売実績は上半期(19年4月〜9月期)時点で約74万台と、前年比で24%減少した。この事態を受け、20年4月に予定していたグジャラート新工場の稼働を7月に延期した。
この記事は有料会員限定です
残り 481文字
