「手数料頼みの商売が成り立たないことがはっきりしてきた」ーー。麻生太郎財務相は1月6日、都内のホテルで日本証券業協会などが開いた名刺交換会でそう発言した。麻生氏の軽妙な言い回しに、出席した証券各社の幹部らからは時折笑い声も漏れたが、このときばかりは幹部らの目は笑っているようには見えなかった。
なぜなら、株式や投資信託など金融商品の仲介を行い、個人投資家と市場の橋渡し役を担ってきた証券会社のリテール部門(以下、リテール証券)を取り巻く事態は想像以上に深刻だからだ(本連載『勝者不在のリテール証券』では、明日から5日連続で大手証券5社〈SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJ証券ホールディングス、大和証券、野村ホールディングス〉のトップインタビューを配信する)。
日本証券業協会がまとめた統計によれば、2020年3月期の上半期が最終赤字だった証券会社は全体の46%と前年同期の34%からさらに増えた。
赤字会社の多くはリテール部門しかない中小の証券会社だが、厳しい状況にあるのは彼らだけではない。例えば、野村ホールディングスがそうだ。ホールセールが比較的堅調だったことや野村総合研究所の株式売却益もあり、ホールディングス全体は2033億円(税引き前利益)の黒字だった。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら