こぞって増やした不動産向け融資はピークアウト。収益に見合わないリスクに対し、金融庁も警戒をし始めた。
スルガ銀行の不正融資事件では、稟議資料の改ざん、書類の偽造などが行われ、1990年代のバブルを思い起こさせた。独自のビジネスモデルで利益を上げているとされたが、やはりウルトラCはなかった。
地方銀行は今、未曾有の厳しい経営環境に置かれている。安倍晋三政権の下で2%の物価上昇率目標を達成するため、黒田東彦日本銀行総裁は2013年4月に金融緩和を大幅に強化。いわゆる「異次元緩和」を導入した。16年にマイナス金利政策を導入し、加えて「長短金利操作」と称して、10年物金利をゼロ%に固定化したことで、銀行は国債運用で利息収入を得ることが絶望的になった。
不動産融資はバブル超え、与信基準に甘さも
日本は潜在成長率が低く、民間部門(企業や家計)は貯蓄超過の状態にある。とくに地方では、名古屋や福岡など一部を除いて人口が減少し資金需要に乏しいため、銀行間の金利競争が激しくなる。カネ余りの中で地銀は収益に見合わないリスクを取っている。
借りる側からすれば金利が低いこともあり、地銀全体で見ると貸し出しは年4%程度伸びている。ただ、預貸金利ザヤはリーマンショック前の07年度で地銀0.67%、第二地銀0.76%だったものが、17年度は地銀0.25%、第二地銀0.24%と3〜4割に縮小しており、収益力は細っている。
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