膨大な情報を含んだ多数の観測値からなる、いわゆる「ビッグデータ」を活用した取り組みが広がっている。一方で、こうした機械化が雇用を奪うのではという悲観的な議論もある。
ビッグデータの利用拡大を私たちはどう受け止めたらよいだろうか。ビッグデータを用いた分析において「人が果たすべき役割」を中心に論点整理を試みたい。
議論の前提として、「データサイエンス」と呼ばれる分野で、何が可能になるのかを整理しておこう。AI(人工知能)の基盤である機械学習手法を念頭に置けば、さまざまな事象に関する「予測」での利用が中心となるだろう。
ビッグデータを使って正確な予測を行うためには、膨大な情報を予測へ適切に組み込むことがポイントになる。
一例として、筆者が東京商工リサーチ(TSR)と実施している共同研究では、将来の一定期間における売上高や雇用の成長、倒産や廃業の発生をAIに予測させ、企業のスコアリングに用いている(特許出願済み)。
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