入社時に配属された部門の「背番号」をつけられ、一生所属が変わらない。そのような総合商社特有のたこつぼ文化の下で育つと、ほかの事業部門のことは、ほとんど別会社のように思えてしまう。
それが商社パーソンのこれまでの職業人生だった。だが従来画一的だった商社パーソンのキャリアや働き方は、足元で大きく変わろうとしている。
岡村裕子さん(35)は2005年に慶応義塾大学環境情報学部を卒業し、三井物産に入社した。そこから13年超のキャリアをたどると、一見脈絡がないように思える。
入社した後に配属されたのは生活産業に関連した部門だった。アニメ映画への出資やカードゲームの企画販売などメディア関連の事業にかかわった後、子会社の三井情報の管理・支援などを行う情報産業関連の部門へ異動。そして現在、所属するのはメタノールやアンモニアなどの化学品を扱う部門だ。
修業生としてロシアへ 帰国後は別部門に
理由は組織変更によるものだけでなく、同社特有の「海外修業生制度」にもある。これは英語圏以外の外国に最長で2年間滞在し、語学と文化を身に付けさせる制度だ。最初の半年から1年間は大学などで語学力を磨き、その後に現地の支店などで実務に学ぶことによって知見をさらに深める。応募資格があるのは入社2年目から6年目の社員。上司の指示ではなく自らの意思で立候補する。
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