『危ない「道徳教科書」』を書いた寺脇研氏に聞く 教科化で教科書使用義務 押し付けは身に付かず

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送りバントの指示に背き、決勝二塁打を放って甲子園出場に貢献した星野君。しかし、監督の裁断は星野君の甲子園大会出場停止だった(6年生の教科書に掲載された「星野君の二塁打」)。

危ない「道徳教科書」
危ない「道徳教科書」(寺脇 研 著/宝島社/1400円+税/223ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

教科化で教科書使用義務 押し付けは身に付かず

──安倍政権下で道徳が国語、算数などと同じ教科になりました。

道徳の目的は子どもたちに公共のことを考える心を持ってもらうこと。公共も時代とともに変わる。日本は人口減少により、今の子どもたちは社会に出ると高齢者、障害者、外国人と働くことが当たり前で、さらにAI(人工知能)も加わる。新しい社会の規範を考えるうえで、道徳教育は重要だ。運動会など行事の準備に充てられ、従来の「道徳の時間」はコマ数を確保できなかった。教科化で年35時間が必須となったことは評価できる。

──ただ、裏腹な問題があります。

教科になると、学習指導要領に書いてあることを網羅した教科書を授業で使う義務が生じる。ところが、道徳教育が目指すものは教科書を読むより、体験によって身に付くことが多い。4年生の教科書の「しょうぼうだんのおじいさん」は、消防訓練に励むパン屋のおじいさんを見て感謝の気持ちを抱くという話。これなら、実際に地域の消防団に話を聞きに行ったほうが効果は大きい。子どもたちに実物を見せ、自分の頭で考え、自分の言葉で語れるようにするのが大事なのに、教科書を使うと教室での座学が主体になりがちだ。押し付けられたことはすぐに忘れる。

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