渡部昇一氏は、フリードリヒ・ハイエクを、英国の懐疑論者ディビッド・ヒュームに連なる思想家ととらえる。
〈このハイエク先生の思想の根源には、私は十八世紀のイギリスの哲学者・ディビッド・ヒューム(一七一一~一七七六年)の思想があると思います。イギリス最大の哲学者と言ってもいいと思われるヒュームは、人間の知力にはどこか欠陥があるというところに行き着いた哲学者です。〉(渡部昇一『知的人生のための考え方』PHP新書、2017年、39~40ページ)
ヒュームは、明日太陽が東から昇ることも確実とは言えないと言った。長期的スパンで考えると、ヒュームの言説は間違っていない。太陽が自らのエネルギーを使い尽くすと赤色巨星となって現在の200~800倍に膨張する。そうなると地球がのみ込まれてしまう可能性もある。もっとも、太陽の重力が弱まるので、地球の公転軌道が現在よりもはるかに外側になるので、のみ込まれることはないという説もある。その場合であっても、いずれ太陽が消滅するのであるから、そうなれば地球の東から太陽が昇るということが絶対に正しいとは言えなくなる。
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