近年、目覚ましい発展を遂げている中国の新産業分野。今年7月に発表された通商白書からは、「技術大国」となった中国の実像がうかがえる。
去る7月10日、経済産業省は2018年版の通商白書(以下、「白書」)を公表した。近年の白書には毎年その傾向が見られるとはいえ、本年版では特に中国経済の存在感が目立った。丸々1章分が「急速に変化する中国経済」に充てられ、特に中国の官民を挙げたイノベーション・創業への取り組みとICT(情報通信技術)に代表される「新産業」の技術水準についてかなり踏み込んだ分析を行っていることが注目される。
特に興味深いのは、技術水準の国際比較をする指標、RTA(顕示技術優位、Revealed Techno-logical Advantage)指数が00年と17年でどう変化したのかに関する分析だ。RTAは、国内全体の特許出願数においてある特定の技術分野が占める比率を分子に、同じ比率を世界全体で測ったものを分母に取ったもので、ある産業分野におけるその国の相対的な技術の優位性を示す指標である。
新産業分野では米国や日本を凌駕
その結果、中国はこの15年ほどの間で技術的な比較優位を持つ産業分野が大きく変化したことが明らかになった。たとえば、00年の段階では、中国が技術的に比較優位を持っているのは家電製品などの「その他消費財」のほか、家具・ゲーム、エンジン・ポンプ・タービンなどといった分野であり、いわゆる新産業の分野ではほとんど優位性はなかった。
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