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石炭火力依存を加速させる日本の危うさ 世界の流れに逆行

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製鉄所の溶鉱炉がそびえ立つ千葉市の臨海工業地帯で、大規模な石炭火力発電所(出力107万キロワット)の建設計画が持ち上がっている。

広島市に本社を置く中国電力と、JFEスチールの共同出資で設立された「千葉パワー」は2月7日、「蘇我火力発電所」建設に関する環境アセスメント(環境影響評価)の実施方法についての説明会を開催。そこに詰めかけた約80人の市民から質問が次々と出た。

「今なぜ石炭火力が必要なのか」

「石炭火力を経済性の観点で増やすことは絶対に許されない」

登壇した千葉パワーの幹部からは、「首都圏での電力の安定供給に貢献したい。石炭の調達は地政学的リスクが低く、コストも安い」との説明があったが、「今でも大気汚染がひどいことをわかっていないのか」「わが国の二酸化炭素(CO2)削減目標の達成が危うくなる」などの意見が相次いだ。

石炭火力新増設に動く中国電力の妥当性は

気候変動問題に取り組む認定NPO法人の気候ネットワークが環境省の「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」を基にまとめた資料によれば、わが国の2014年度の温室効果ガス排出量約13億6400万トンのうち、発電所は全体の約33%を占める。そのうちの約半分が石炭火力発電所だ。石炭火力は、発電電力量当たりのCO2排出量がLNG(液化天然ガス)火力の約2倍に達する。

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