奨学金返還をめぐる問題が注目を集めている。雇用状況の変化などが原因で、思うように収入を得られず返還に窮する人が増えているのだ。
日本学生支援機構(JASSO)は「奨学金は、自分の力で有意義な学生生活を送り、将来の夢をかなえるための手段」と説明する。ただ、「夢」の前提として、学生は奨学金貸与を受けたリスクを、どこまで自覚しているのか。また、将来的なリターン設計をどこまで考えているのだろうか。それらの問題点は見過ごされがちだった。
「教育を受けることは権利であり、直接のリターンを考えることは間違っている」との意見もあるが、日本の奨学金は貸与中心であり、未成年者に数百万円を貸し付ける「融資」の側面を持つことも事実だ。そして、高度経済成長期のように終身雇用制度の中で正社員として就職すれば安定した生活が送れる、という時代ではない。
堅実な専門職よりも夢を追って返還難に
だが高等教育への進学の前段階である高校の現場では、奨学金制度の中身や現代の労働環境を十分に理解しないまま、教師が生徒に進学を勧めている実態がある。
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