15歳で一人暮らしを始めてみて気づいた。自分は働くことが大嫌いであると。夏は暑いから、冬は寒いから、という理由で働く意欲を失う。部屋に電話はないので、そのまま無断欠勤でクビになる。中卒の身で、働く先も限られているのにその繰り返し。日雇いの仕事で糊口をしのぐような状態が23歳ごろまで続いた。
「家賃は払わない」というのが、基本的な考え方なんでね。支払いはずっと、ためられるかぎりためる。すると、どうなるか。最後は大家から「もう払わないでいいから、出ていってくれ」と追い出されてしまう。つまり、滞納した分は棒引きになるわけだ。
そのやり方が通用しないときは母親に尻ぬぐいさせる。子ども服店の店長をしていた母はけっこう待遇がよかったみたいだった。母からむしり取れるだけむしり取った。そういう10代だった。
東京・神保町のなじみの古本屋で手伝いもしていた。自分では給料の感覚で、ちょくちょくカネを借りていた。全部足すと、1000万円は超えているはず。「ない、ない、その日生きるのが精いっぱいで、かつかつなんだから」と言い続けて、今も返していない。
ほかから300万円は借りていたが、それはきっちり返した。実は借金関係はそれくらい。昭和59年ごろから平成元年ごろまでは、日雇い労働者にとっては本当によい時代。最初4000円の日当が最後は2時間残業込みで1万5000円くらいになっていたから。
カネのかかる結婚生活は愚の骨頂
そのうち、自分の小説が商業誌に掲載されるようになって、少しずつカネも入ってくる。年に2冊ほど本になるころは、作家の収入だけで250万円。日雇いの収入を足すと、400万円くらいで、まあまあの生活を送れた。
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