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四半世紀前、アメリカの中心で歴史上類を見ない同時多発テロ、いわゆる9.11が起こった。そして、テロの脅威を根絶するため、アメリカがアフガニスタンとイラクで始めたのが、「対テロ戦争」である。
2021年8月末、アフガニスタンからの米軍撤退をもって、「対テロ戦争」は一応の決着を見た。しかし、現在のイラン戦争を見れば、アメリカの中東政策において、「対テロ戦争」の論理が今なお生き続けていることは明らかである。
9.11以降、「対テロ戦争」は、少しずつ形を変えながら何度も繰り返され、何度も失敗を積み重ねてきた。歴代政権の「対テロ戦争」を振り返るとともに、現在のイラン戦争についても読み解いてみたい。
「対テロ戦争」に通底する予防的自衛権の論理
9.11を受けてアメリカは、2001年10月にアル=カイダを匿ったアフガニスタンのタリバン政権に対して、2003年3月に大量破壊兵器の保有とテロ組織との関係が疑われたイラクのフセイン政権に対して、それぞれ軍事侵攻を行った。アメリカの軍事力は圧倒的であり、2001年12月にはタリバン政権が、2003年4月にはフセイン政権が崩壊した。
しかし、アフガニスタン戦争もイラク戦争も、政権崩壊後の国家建設や治安維持に長い時間がかかった。イラク戦争が終結したのは11年12月、アフガニスタン戦争が終結したのは21年8月であり、この間、ブッシュからオバマ、トランプ、バイデンへと政権が移り変わった。
これらの政権は、それぞれ異なる政治的な立場を採るものの、「対テロ戦争」をめぐっては基本的に同じ立場を貫いている。すなわち、「テロリズムは差し迫った脅威であり、これに予防的に対処することは自衛権の行使として正当化される」というものである。
周知のとおり、国連憲章第51条は、加盟国による自衛権の行使を定めている。ただし、これが認められるのは、基本的に武力攻撃が発生「した後」であり、国家以外の集団によるテロリズム、しかもそれが発生「する前」の状態は、少なくとも国連憲章の制定時には想定されていない。
もちろん、武力攻撃が発生「する前」であっても、「今まさに攻撃される」という明白で差し迫った脅威があれば、先制的な自衛権の行使が認められるという学説もある。しかし、「今後、攻撃されるかもしれない」という潜在的な脅威に対して予防的に自衛権の行使を認めることは、国際法上難しい。
ブッシュの「対テロ戦争」は善悪二元論の世界観
他方で、予防的自衛権を、どのような言説で正当化するか、あるいはどのような方法で行使するかといった点については、歴代政権において様々な違いが見られてきた。
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