中高年の借金苦の原因として目立つのが、ギャンブルである。単にやめられない、というよりは、「依存症」という病であることも多い。
ギャンブル依存症の場合、ドーパミンの過剰分泌が一つの原因とされ、「賭ける時間や金額が増える」(耐性)、「借金をしてまでやってしまう」(渇望)、「一度やめても、何かのきっかけですぐに再開する」(感作)の三つが依存症のキーワードとされる。
病気ではあるが、「自助努力で治せるもの」と誤解されやすい。ギャンブルは知的ゲームの側面もあり、ストレスがかかる仕事に就いている人や、高所得者がなりやすいのも特徴だ。
2014年に設立された「一般社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会」(会員約300名)は、依存症に悩む人々の支援や、依存症という病気に対する社会の認知向上に向けた啓発活動などを行う代表的な団体の一つだ。
実は代表理事の田中紀子さんも、かつて夫婦で深刻な依存症に陥っていた。
田中さんがギャンブル好きの大学生だった夫と知り合ったのは、アルバイト先でのことだ。大学病院勤務の傍ら、夕方からはアルバイトもして、年収1000万円超だった田中さんは、競艇好きの「年下の彼氏」に現場へ連れていかれるうち、自らもギャンブルにのめり込むようになる。
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