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「借金がなければ努力しなかったかも」 オレと借金(2) 元関脇 貴闘力・鎌苅忠茂

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元関脇 貴闘力 鎌苅(かまかり)忠茂
かまかり・ただしげ●1967年生まれ。2000年春場所で優勝。02年に引退、親方となったがその後、日本相撲協会から野球賭博の問題で解雇され、飲食店経営へ。(撮影:今井康一)

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父親は本当にギャンブル好きだった。それで借金を繰り返して、気づいたときには1億円に膨らんでいた。当時は神戸に住んでいたが、もう返せなくなって、俺たち家族も夜逃げ同然で引っ越すことになった。山口、九州……と転々としてね。それでも父はギャンブルをやめない。もう死ぬまでやめなかった。

借りては返して、また借りてという繰り返しだ。俺はその借金を引き継ぐ形で相撲界に入った。相撲は一生懸命取ったけど、借金だらけという身の上を思うと、「もうどうでもいいや」と投げやりになることもあったよ、それは。嫌な気持ちは消したくても消せない。毎日毎日、ただ頑張って、その後は何とか年寄株を買って、後進を育てたい、というのが夢。それは結局、夢でしかなかった。

でもはっきり言いたいのは、八百長だけはなかったよね。それでカネをもらうなんてことは……。それだけは一度も心が揺れたことはなかったんだ。土俵で転んで、(借金を)返せばそれは楽なんだろうけど、それだけはやれない。俺にも「相撲愛」があったんだと思う。本当の愛だよね。

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