組織的犯罪処罰法改正案に新たに付け加えられる共謀罪、もしくはテロ等準備罪。国会で議論が十分に尽くされたとはいいがたく、その内容は茫漠としている。ただ漂ってくるのは、一般市民が監視される社会の不穏な気配だ。
立法する根拠なし “内心の処罰”が可能に
──表現がいろいろありますが、共謀罪=テロ等準備罪という認識でOKですか?
はい。
──では、そもそも共謀罪とは。
複数者で犯罪の計画について合意することです。過去3回廃案になり、今回は対象犯罪を半分以下に減らしたうえで、テロ対策であること、また国連の国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結に不可欠であることを訴えてきました。
ところがそれとは裏腹に、条文の中にテロに照準を合わせたものが一つもない。つまりテロ対策を含んでいない。しかも条約締結のための条件はすでに国内立法で完備され満たされています。日本では70を超える類型の予備・陰謀罪、準備罪、扇動罪が規定されていて、諸外国と比べても広い処罰範囲を持っている。単なる観念的な危険だけでは処罰できず、被害の発生やその科学的危険性を根拠とし、既遂・未遂・予備と処罰する体系が確立されているわけです。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け