米国で「第五の権力」と呼ばれるシンクタンク。トランプ政権下で役割は変貌を始めたのか。
──米国の歴代政権にはシンクタンクから大挙して幹部要員が登用されました。
米国の場合、政権の主要役職は政治任用であり、4000人近くの人材がシンクタンクなどから新たに登用され、また前政権の退任後の受け皿にもなってきた。
これまでの政権ではシンクタンクの在籍者が政府要職に起用されるのがパターンだった。ところが、トランプ政権にはこの動きが明確に見られない。過去の政権に比べ圧倒的に少ない。ヘリテージ財団が早くから支持し応援していて、最も近いといわれていたが、従来ほど政府高官に起用されているわけでもない。ほかの主要なシンクタンクに至ってはわずかに一人とか二人だ。
──政官界との「回転扉」の人材源といわれていました……。
シンクタンクに所属する研究員の多くは政府での経験が豊富。登用された人材が少ないことは、今の政権に政策や統治に長けた人材が乏しいことを意味する。特に外交、安全保障については皆無に近い。大統領選挙で“ネバー・トランプ”を掲げ歯向かった人たちを、トランプ政権は許さなかった。端的な例が国務副長官人事で、代表的な外交専門家の選挙当時の発言が発覚して直前に外された。
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