昨年は英国の国民投票によるEU(欧州連合)離脱決定、米大統領選挙でドナルド・トランプが当選したことで、世界は目まぐるしく変わり始めたかに見えた。しかし、欧州で選挙が続く今年、変化はやや遠のいた。
オランダの下院選で極右政党は振るわず、仏大統領選で、極右政党・国民戦線のルペン候補は敗北し、独州議会選挙ではメルケル首相率いるキリスト教民主同盟が堅調である。もっともフランスの国民戦線は着実に票を伸ばしており、次回の大統領選でその候補の当選を食い止められるかはまだ予断を許さない。
するとやはり、ここしばらくは英国と米国の動向が世界の趨勢を見定める試金石となるだろう。米国では、トランプ大統領が、機密情報をロシアに漏らし、選挙陣営とロシアとの関係を捜査しているFBI(米国連邦捜査局)長官を正当な理由なく解任するなど、迷走を続けている。
他方で英国では、3月にメイ首相が離脱の手続き開始をEUに通告した。そして5月には総選挙でこの手続きの信を問うとして下院の解散を決断し、議会もそれを認めた。各種世論調査では保守党の圧勝が予想されており、一部のリベラルエリートが期待するような、EU残留派の勝利という選択肢の実現性は皆無である。
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