「共謀罪」の趣旨を含む「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が、今国会で成立する可能性が高くなってきた。
改正案をめぐっては、5月2日、自民党所属の鈴木淳司・衆議院法務委員長の委員会運営が「強権的だ」として民進党が解任決議案を提出、法務委は開始直後に休憩となり散会するなど審議が中断していた。9日の衆院本会議で、解任決議案は与党などの反対多数で否決された。
12日には自民、公明両党と日本維新の会が、容疑者を取り調べる際の録音・録画(可視化)を検討することや全地球測位システム(GPS)を使った捜査を適正に行う制度の検討も、法案の付則に盛り込むことで修正合意した。さらに先週には法案の審議時間が目安としていた30時間に達したことから、野党の反対を押し切ってでも衆院本会議で採決を強行し、参院で審議入りする見通しとなったためだ。
犯罪の実施後ではなく計画だけの段階で処罰しようとする改正案をめぐってはこれまで、取り締まり対象が暴力団など組織的犯罪集団にとどまらず、政府の政策に反対する市民団体や労働組合などにも広がるのではないか、話し合ってみただけで逮捕されるのではないか、自首すれば刑が減免される制度が冤罪の温床となってしまうのではないか、などの懸念をめぐって議論が交わされてきた。
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