有料会員限定

みんなスキーに連れてってだったあの頃 ブームの象徴「苗プリ」の今

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 最新
拡大
縮小
長いスキー板、モノトーンのウエアが典型的なバブルファッション(写真:共同通信)

特集「最後の証言 バブル全史」の他の記事を読む

金曜日の夜、超満員のツアーバスに夜通し揺られ、若者たちはスキー場に向かう。やっとの思いでたどり着くと、ゲレンデは見渡すかぎりの人、人、人。リフトに乗るにも30分以上の待ち時間はざら。いざ斜面に立つと周囲に目を配り、ほかのスキーヤーにぶつからないように滑らなくてはいけない。当時のスキーはまさに苦行。それでも、週末ごとに多くの若い男女が雪を求めてやってきた。

『私をスキーに連れてって』。1980年代半ばからじわじわと広がっていたスキー人気は、87年に公開されたこの映画をきっかけに、一気に花開いた。

スキーブームとバブル経済はその歩みを同じくしていた。カネ余りと、87年に制定されたリゾート法(総合保養地域整備法)がブームを後押しした。地域振興の名の下、地方のリゾート開発に税制上の優遇措置や政府系機関による低利融資を行うという同法を使って、数多くのスキー場が各地に造られた。

土地を取得し、斜面を造成し、リフトを建設し、雪を待つ。スキー場ができるまでには相当の時間を要する。一例を挙げれば、リゾート法適用第1号となったアルツ磐梯スキー場(福島県)の開業は93年。バブルはとっくに終わっていた。スキー人気は変わらず続いていたが、下図のとおり、下り坂はすぐ目の前にあった。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
最後の証言 バブル全史
阪和興業会長 北修爾
米国は日本のバブルをどう見ていたか
株価、月収、就職人気…
大蔵省も想定外だった
兜町の重鎮2人に聞く
日本のウォール街の今昔
ライフコーポレーション会長 清水信次
ぜいたくするのが格好よかった
支払いは100万円の札束で
ブームの象徴「苗プリ」の今
エス・サイエンス会長 品田守敏
浮かれていられた最後の時代
現地ルポ
元伊藤忠商事社長 丹羽宇一郎
一晩で1人20万円超えも
データで見るバブル期の日本経済
イトマン事件だけではない!
元住友銀行支店長 山下彰則
乱脈融資に反社会勢力とのつながり
横尾宣政×十亀博光 証券OB対談
野口悠紀雄氏に聞く
河合弘之が明かすバブル紳士たちの横顔
最後の証言 バブル全史
今だから話せる狂乱の実像
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内