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[INTERVIEW]東京大学教授 吉見俊哉 浮かれていられた最後の時代

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東京大学大学院 情報学環 教授 吉見俊哉
よしみ・しゅんや●1957年東京生まれ、81年東大卒。2000年に東大教授、04年から現職。著書に『親米と反米』『ポスト戦後社会』など。(撮影:大澤 誠)

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赤坂、六本木、青山、原宿、渋谷など、バブル期にいちばんおしゃれだといわれて若者たちが集まり、地上げの標的にもなった場所をたどると、大体が国道246号(旧大山街道)の沿線だ。ずっとたどれば東急・田園都市線沿線のたまプラーザとか、相模原、厚木まで行く。

246号沿いには戦前、陸軍施設が集中していた。日本が負けたとき、米軍は相模湾から神奈川県へ入り、この国道を通って東京に向かい、旧陸軍施設は撤収され米軍施設に取って代わられていった。だから戦後の東京の文化は米国のミリタリーカルチャーがベースにある。米国の植民地構造の中に入ったのだが、そのことは1960年代から70年代になると忘れられていき、80年代の消費社会を迎える。83年にはアメリカナイゼーションの極致である東京ディズニーランドがオープンしたが、自然に受け入れられた。

バブル時代を支えたのが消費社会化と情報社会化。一家に1台だった電話機にワイヤレスの子機がつくと「私の電話」に近いコミュニケーションツールになる。だからすでに家族という単位が解体され、個人化し始めていたのだ。

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