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10年変化 ニッポンはどこへ向かうのか。今そこにある未来

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(本誌:山田俊浩、野村明弘、井下健悟、武政秀明、長谷川隆、三上直行 / 撮影:梅谷秀司、尾形文繁、風間仁一郎、今井康一)

今から振り返れば、10年前の1997年は、大変化の前振れの年だった。

経済を揺るがす最大の事件は、山一証券、北海道拓殖銀行が経営破綻したことだ。大蔵省を頂点とする金融行政の瓦解を象徴しており、事後チェック型行政への転換は、このときに不可逆になったといっていい。

経営悪化に苦しむ銀行、生保が持ち合い株の売却を加速させたのもこのころ。これにより、安定株主の持ち株比率が減ると同時に、メインバンクによるグリップ力が低下した。これが、今日の敵対的買収の活発化に結びついた。

社会の空気を端的に表すのが自殺者数の推移だろう。年間の自殺者は97年の2万4391人から翌98年には3万2863人へ急増。住宅ローンの支払いに行き詰まったサラリーマン、銀行の貸し渋りで資金繰りに苦しむ中小企業経営者が、悲劇的な結末を迎えていった。そしてその後、10年間にわたり自殺者数は3万人の大台を割っていない。

環境問題が国際政治の中心課題に浮上したのも10年前。ヨーロッパ諸国の強いリーダーシップにより、温室効果ガス削減のための枠組みである京都議定書が採択された。その後は、まさにヨーロッパ発のエコブームが世界を席巻。先のハイリゲンダムサミットの中心議題も、まさに温室効果ガス問題だった。

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