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コンピュータがプロ棋士を凌駕する 人口知能の大躍進

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経験やカンなど、数値化できないといわれてきた領域にコンピュータが挑む──熱い攻防が将棋盤の上で繰り広げられている。=文中敬称略= 

「10年後ですか。コンピュータがトッププロを負かしても、ちっとも不思議ではないですね」

こともなげに語るのは昨年度、日本将棋連盟の理事を務めた島朗八段。島は約20年前から、棋譜管理に当時としては画期的だったコンピュータを導入するなど、将棋界に新風を吹き込んできた棋士だ。全タイトル制覇でフィーバーを巻き起こした羽生善治や、佐藤康光、森内俊之という現在のトップ棋士が若いころ、一緒に研究会を開いたこともある。いわば彼らの「兄貴分」的存在だ。自身、竜王というビッグタイトルの初代ホルダーでもある。

「自分はコンピュータ人間ではないのだが」と笑いつつ、島は続ける。「すでに、終盤で詰むか詰まないかを読む速度、正確さではプロ棋士を凌駕している。われわれも『Xデー』に備え、コンピュータにはない発想、ひらめきを追究していかなければならない時代になった」。

タイトルホルダーを苦しませる棋力に

今年3月、その「Xデー」を予感させる衝撃的な出来事が起こった。

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