築後30年以上になる高経年マンションの戸数はまもなく100万に達する。補修しながら次の世代へ引き継ぐストック活用の仕組みを生み出すことが必要だ。
昨秋、日本経済新聞夕刊(11月9日付)に衝撃的な内容の記事が載った。
同紙がNPO(特定非営利活動法人)の「全国マンション管理組合連合会(全管連)」を通じ、築後20年以上の分譲マンション1576管理組合を対象に行ったアンケート調査で、その13.1%が「高齢者の孤独死があった」と回答したのである。人と人のつながりを断たれ、誰にも看取られずに迎える死は、「共同住宅」とはいったい何なのか、という重い問いを突き付けてくる。
大都市圏では、相変わらず超高層マンションが続々と建てられている。現在、日本全体で分譲マンションの総戸数は500万戸。10年前の315万戸から約1.6倍の急増である。
が、一方で、築後30年を超える高経年マンションも、まもなく100万戸に達する。住民の高齢化によるコミュニティの衰えと建物の老朽劣化という「2つの老い」を背負うマンションの悩みは深刻だ。
タワーマンションのきらめきと団地の一隅で寂しく消えていく生命。一見、両者は経済格差がもたらす天国と地獄のようだが、実は密接にリンクしている。歳月とともに住人が年齢を重ね、建物が傷むのは住宅の宿命だ。その宿命を乗り越え、世代を継いで住み続ける「民主主義の流儀」が、問われているのである。
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