外国人労働者が急増していく日本社会。10年後には、労働人口確保に向け、移民受け入れの賛否を問う議論が巻き起こっているだろう。
東京都心に程近い、江戸川区西葛西。ここには現在、約1500人のインド人が生活をしている。しかし、10年前は、まったく状況が違っていた。「ついこの間まで西葛西のインド人はわずか4家族でした」と、江戸川インド人協会の会長を務めるジャグモハン・S・チャンドラニ氏は振り返る。なぜ短期間に、インド人が増えたのか。
きっかけは2000年。ITブーム真っ最中のこの年8月、森喜朗首相(当時)はインドを訪問し、一定の条件を満たすインド人IT技術者に3年の就労ビザを積極的に発行することを約束した。日本で不足していたIT技術者を補うためにはインドの力を借りることが必要という判断からだ。実際に01年からビザの発給は急増、東京都心の外資系金融機関などでシステムづくりに携わるインド人が、家族とともにチャンドラニ氏らが住む西葛西に住むようになった。
チャンドラニ氏は1978年に初来日。「シャンティ紅茶」の輸入販売会社を経営し、日本での永住権も獲得している。日本語は流暢、西葛西での生活も長い。そこで地元の不動産業者などを巡り歩き、インド人家族が安心して生活を営めるよう、日印の橋渡しを行った。こうした努力が実り、今ではインド人の間で、「住むなら西葛西」との評判が広がり、日本に住むインド人の1割がこの地域に集中しているという。
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