雇用・設備・債務――日本の大企業は3つの過剰を解消するべく、リストラに邁進。その過程で生まれた大量のフリーターが歳を重ねていくと…。
「職場に集合してから作業に入るまでの時間分の賃金がカットされている」「稼げるはずもない高額な給与条件を提示して人を集めている。誇大広告だと思う」──。
6月4日夜、東京・西新宿にあるビルの貸会議室は、熱気に包まれていた。NPO(特定非営利活動法人)派遣労働ネットワークが主催する公開集会には、パート・アルバイト、派遣社員、契約社員など非正規の身分で働く労働者など50人ほどが参加。NHKなどのテレビカメラが見つめる前で、自らの職場の実態を生々しく報告した。
報告を行った面々の勤務先は、グッドウィル、フルキャスト、KDDIグループなどの大手企業。いくら働いても生活費だけで精いっぱいで、なかなか豊かになれない「ワーキングプア」と呼ばれる人たちが、今や多くの大企業を支えている。
不況下で生まれた大量の不安定雇用
雇用構造の劇的な変化は、過去10年ほどで急速に進んだ。総務省の労働力調査によると、1995年には全雇用者に占める非正規労働者の比率は約20.9%、1001万人だったが、2007年1~3月では33.7%、1726万人にまで増加している。非正規労働者は、雇用期間の定めがない正社員に比べると総じて賃金が低く、期間満了などを理由に雇用契約を簡単に打ち切れる。そのため企業にとっては、固定費の引き下げや人員調整に活用できる存在であり、これに多くの企業が飛びついた。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら