質問すると答えをくれるスマホソフト「Siri」、将棋や囲碁では名人と好勝負を繰り広げ、クルマの自動運転までこなす勢いの人工知能(AI)。コンピュータの“進化”でAIが人間を超える日も近い──、そんな想像が頭の中で膨らんでしまう。ところが灯台下暗し! コンピュータは文章が書けない、文章が読めない、と冷や水を浴びせるのは、AIによる短編小説で文学賞「星新一賞」の1次選考通過をものにした、研究者本人だ。
──400字ほどの短い文章でもハードルが高いというコンピュータに、どうやって文学賞応募を満たす短編小説を書かせたのですか。
そもそもコンピュータは、単に入力された情報から出力を作り出す機械。汎用的な文章生成は今のところまったくできません。
小説を書くのに現在可能な方法は雛形による文章生成です。文章の目的、読み手、状況、スタイルなどもろもろ決めておけば文章の雛形が定まる。1本の小説を言葉単位で細かく分解し、冒頭の文はその日の天気、2番目に場面説明、3番目に主人公の様子など文の構造をすべて仕込んで雛形を作る。雛形をたくさん作れば組み合わせで文章ができる。
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